腰痛の原因には内臓疾患やがんの可能性も!?知られざるリスクや危険な症状をご紹介

医療職は肉体労働です。特に看護師や看護助手、医療事務に至るまで、首や腰の病気を患い退職を余儀なくされる方も大勢います。首や腰の病気の場合主に脊椎が原因の事が多くあり、腰の痛みといった症状によって現れることがあります。
背中の痛みは脊椎疾患以外にも症状として現れることがあります。

今回はそういった仕事を続けられないまで悪化しないように腰の疾患について医師監修のもと解説致します。第2回は「腰の痛み」です。

腰痛は多くの人が経験したことのある不調であり、程度は様々ですが、身近である分軽視されがちかもしれません。

整体やマッサージに通ったり、湿布などの市販品で痛みを誤魔化したりして過ごす方も多いのではないでしょうか。
ところが、腰痛の中には内臓や骨などの疾患が関わっている場合もあるのです。

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内蔵疾患や癌が原因に?腰痛の知られざるリスクをご紹介

腰痛には様々な原因がありますが、そのうちの一つとして内臓疾患や癌などの重篤な病気が原因となっている場合があります。

内臓疾患による腰痛の場合

内臓疾患であれば、消化器系(胃・十二指腸潰瘍、胆石、胆嚢炎、膵臓炎)、泌尿器系(尿路結石、腎結石、腎盂腎炎、前立腺癌)、婦人科系(子宮内膜症、子宮癌)、循環器系(心筋梗塞、解離性腹部大動脈瘤)などの可能性があります。

もちろんこれらの疾患には腰痛以外の症状もあります。

消化器官系の疾患による腰痛の場合

消化器系であれば、腹痛、血便、嘔吐など、泌尿器系であれば、排尿障害や血尿、婦人科系であれば、おりもの量の増加や不正出血などが伴います。

また、循環器系の心筋梗塞であれば、締め付けられるような背中や腰の痛み、解離性腹部大動脈瘤であれば、腰や下腹部の激痛などが特徴です。

腰痛だけでこれらの疾患を疑うことは難しいですが、このような他の症状もみられた場合は早めに病院にかかりましょう。

特に循環器系は命に関わるので、迅速な判断が肝心です。
また、癌の既往歴がある場合は特に注意を要するでしょう。

こんな腰痛の症状は要注意?危険な特徴まとめ

このように腰痛の影には大きな疾患が潜んでいる可能性があります。
とはいえ、もちろん全ての腰痛がこのような危険のサインであるという訳ではありません。

体を動かしたときにだけ腰が痛む場合

基本的に、身体を動かした時だけ痛む場合は、腰の椎間関節や筋肉が原因の腰痛である可能性が高いとされています。
そのため、一ヶ月ほど様子を見ると治ることが多いでしょう。
ただし、悪化したり長引く場合は整形外科を受診しましょう。

常に腰が痛い、または痛みが増していく場合

一方で、じっとしていても姿勢を変えても痛む場合や数ヶ月スパンで徐々に痛みが増していく場合は、脊椎の問題や上で述べたような内臓疾患が原因の場合があるので、注意が必要です。

発熱、体重の減少がみられる場合

微熱や上で述べたような他の症状がある、体重の減少がみられるといった場合も、早めに病院を受診しましょう。
特に、50歳以上で慢性的な腰痛を抱えている、癌の既往歴がある方で気になる症状がある場合、外科やかかりつけ医に相談するようにしてください。

その腰痛、内臓疾患が原因かも!?症例をご紹介

以上のように、腰痛の原因として様々な内臓疾患の可能性があります。
ただし、それぞれの病気で腰痛の感じが異なったり、違う症状を伴います。
以下で、いくつか具体的な例を紹介します。

胃潰瘍等消化器系の病気

消化器系の病気と腰痛はなかなか結びつかないかもしれませんが、腰痛も症状の一つとして現れる場合があります。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍はその代表的な例です。
この病気は胃液によって胃や十二指腸の粘膜が傷つけられることによって引き起こされます。
胃潰瘍でも潰瘍が背中側にできた場合、背中側が痛むため腰痛と勘違いされるケースがあります。
その他の特徴としては、みぞおちから左にかけて痛むことが多いことが一つ挙げられます。

また、十二指腸潰瘍も腰痛と混同される場合があります。
痛みがない場合もありますが、胃潰瘍とは逆にみぞおちから右にかけて痛むことがあります。
また、空腹時や夜間に痛みを感じることも特徴の一つです。

尿路結石等泌尿器系の病気

泌尿器系の疾患の場合、排尿障害や血尿がみられる場合が多いです。
その中の一つ、尿路結石は男性に多い疾患で、尿路にカルシウムなどのミネラルでできた石が出来ることによって起こる病気です。
そのため激しい痛みが急に出たり消えたりを繰り返します

また、泌尿器系の病気では、腎盂炎なども考えられます。
腎盂炎は大腸菌などの細菌が腎臓の一部に侵入することによって起こる病気で、腰よりもやや上に痛みがみられる場合もあり、発熱がみられるという特徴があります。

子宮内膜症等婦人科系の病気

腰痛の原因には女性特有の婦人科系の病気が関係している場合もあります。
子宮内膜症は若い女性を中心に増えている病気で、本来子宮の内側を覆っている子宮内膜やそれに似た組織が卵巣などの他の臓器に出来てしまうことによって起こります。

そのため、この病気の大きな特徴は月経痛などの月経トラブルが強くなることです。
そして、腰痛もこの病気の症状の一つとしてあげられ、この病気の方の半数以上が腰痛を訴えているという報告もあります。
痛みが腰だけでなく、背中や股関節、脚にまで広がることもあることが特徴と言えるでしょう。

そのほかに腰痛を引き起こす婦人科系の病気の代表的な例として、子宮筋腫も挙げられます。
子宮筋腫は子宮の筋肉に出来る良性の腫瘍です。
悪性腫瘍に変わったり、転移することはほとんどありませんが、サイズや出来た場所によって様々な症状を引き起こすことがあります。

代表的な症状としては、過多月経や月経痛などの月経トラブルで、子宮内膜症と共通するものもありますが、筋腫が大きくなると下腹部を触ったときに硬いものに気が付く場合があることが特徴です。
そして、筋腫が神経を圧迫すると腰痛も症状として現れることがあるのです。

“脊椎の疾患”や“がん”など腫瘍性疾患が原因の場合も

以上のような内臓疾患以外にも脊椎や脊髄の疾患や癌などの可能性もあります。
これらの病気は進行しないように早めに発見することが肝心です。

脊椎や脊髄の腫瘍

脊椎や脊髄に腫瘍が出来た場合も腰痛を引き起こすことがあります。
脊髄と脊椎神経、およびその周辺組織にできる腫瘍を脊髄腫瘍と総称します。
脊髄腫瘍には、他の腫瘍と同様に、その箇所で最初に発生する原発性腫瘍と他の箇所から転移してきた転移性腫瘍があります。
転移性についてはまた次の項で解説します。
原発性腫瘍の場合、基本的に手術治療が行われ、発生頻度はそれほど高くないと言われています。
症状としては、脊髄や神経が圧迫されることによって手足の痺れや感覚障害が起こります。
ただし、どの高さに腫瘍ができるかによって症状が出る部位が変わり、腰の部分に出来た場合などは手には症状が出ない場合があります。
さらに進行していくと排泄障害を引き起こすことがあります。
症状の一つである腰痛の特徴としては、痛みが進行すること、安静にしていてもよくならないこと、夜間に痛むことなどが挙げられます。

骨にがんが転移したことによる腰痛の場合も

上で述べたように、脊髄腫瘍にも原発性と転移性があります。
転移性は他の箇所で最初に発生した悪性腫瘍が転移したもので、癌で亡くなる症例の30%に骨への転移があると言われています。
その中でも、腰椎への転移が多いため、腰痛が症状として出ることが多いのです。
転移性の場合は放射線などの化学治療が選択されることが多いですが、手術が適用されることもあります。
骨に転移しやすい癌は、肺癌、乳癌、前立腺癌と言われています。
そのため、こういった癌の既往症があり、痛みがひどくなったり、じっとしていてもよくならないような腰痛が起こった場合は、早めに主治医に相談するようにしましょう。

まとめ

この記事では、腰痛と様々な疾患の関係について紹介しました。
腰痛は身近な不調であるため、見過ごされがちですが、重大な疾患が原因であることもあるため注意が必要です。
特に注意が必要な腰痛は、じっとしていてもよくならない、痛みがひどくなるといったものです。

このような腰痛に加えて、それぞれの病気に特徴的な症状がみられた場合は、かかりつけ医か専門医に相談しましょう。
また、これらの症状がない場合でも、長引く場合は医療機関を受診し詳しい検査を受ける事をお勧めします。

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