美容系看護師の退職事情

美容クリニックに勤務する看護師とは


昨今爆発的に増えているのがこの美容クリニックです。
以前は大手の独占状態でしたが、いまや大手美容クリニックから続々と医師が独立し開業しています。さらに看護師やカウンセラーなども一般社団法人を利用して開業しています。
この美容クリニックの乱立は社会問題化しています。
高額な報酬を唄って新人看護師や医師を根こそぎ持っていきます。
結果臨床系の医療機関における人手不足に拍車がかかっているのです。

美容クリニックの業務内容

さて美容クリニックに勤務する看護師ですが一般の臨床系看護師とは全く違う業務内容です。
一般的に美容クリニックは全国展開しているような大手美容外科グループ、主要都市に数院の中規模の美容外科、1~3院程度の小規模クリニックに分かれます。
それぞれ業務内容が異なっていますので個別に解説します。

大手美容外科グループ


地域名+美容外科という名称のクリニックが多く美容外科単体ではなく美容皮膚科、レーシック、AGA、静脈瘤クリニック、婦人科、など多角経営しているところが多いのが特徴です。
その分毎年大量の医師や看護師、カウンセラー、事務方が入職します。
臨床の病院よりかなりこなり高額な年収で雇われており、特に看護師は臨床系の医療機関との格差はかなり大きいようです。
大手の看護師は当然看護師としての業務になりますが多岐に渡ります。
一般的に美容系のクリニックは保険診療ではなく自由診療ですのでそれほど保健所等のチェックが厳しくありません。そのため看護師が担う業務がかなり医師が行わなければならない業務をを行っていることが多いようです。
具体的にはレーザー照射、手術後の抜糸、術前の消毒、ケミカルピーリング等の薬剤塗布手術の第一助手、麻酔管理 等明らかにの医療行為も看護師が行っているのが現状です。
特にシミ系レーザーや脱毛系レーザー照射は看護師が行っているクリニックがほとんどです。医師の管理下の元という建前上微妙なラインではありますが、昨今のニュースであったようにエステ等でレーザー照射を行っており摘発された例がありましたがそれを受けて厚生労働省はレーザー照射は医療機関おいて医師が行う事という通達が入りました。
これから摘発されるケースも出てくると思われますが、そういうリスクを背負って美容外科の看護師は働いています。また大手のクリニックは美容外科からレーシックやAGAと明らかに違う業務へ配置換えも頻繁にあるようです。ですが大手美容外科は基本的に看護師業務以外は行いません。

中規模の美容クリニック


こちらは皮膚科やAGAが多い傾向にあります。
ですがやはりレーザー照射等の医療行為は大手美容外科同様看護師が行っているクリニックが
ほとんどです。これに加え中規模美容クリニックは術前説明やカウンセラー業務、手術の勧誘を看護師に行わせているクリニックが多いようです。
つまり看護師以外の業務をさせられているのが現状です。
そしてやはりカウンセラーという事はレーザーの回数セット契約や手術契約に際するノルマが課せられているところも多く、クリニックによってはかなり基本給が低く設定されており、契約できた代金の一部をインセンティブとして受け取るというクリニックもかなり存在します。
これは完全に歩合制で、基本給が低いため、ある程度の収入を確保するためにかなり強引なカウンセリングを行います。看護師やカウンセラーが手術適応を決めたり、術後の説明やガーゼ交換等も看護師が行っている場合が多く、一人の患者に一人の患者が最後までマンツーマンでつく場合も多いようです。
ただ大手ほど指導体制が整っていなかったり、業務の線引きが曖昧なため、本来の美容看護師としての技量は大手と比較してあまり習得できない傾向にありますが、大手などで美容経験があれば収入は大手より上げやすい傾向にあります。
しかし少ない人数で業務を行っているので、人間関係のこじれが生じると関係修復は困難となり退職につながる可能性が高いです。

小規模の美容クリニック


医療法人でなく医師個人が個人事業として開業されているパターンが多く、医療法人であっても一人医療法人で院長理事長兼務の場合がほとんどです。
この場合院長一人に決定権が集中しています。
つまり院長の方針にすべてが左右され、前述のように看護師の兼務する業務は多岐にわたり電話予約から、ホームページの編集まで任せられることが多々あります。
しかも看護師1~2名しかいない小規模のクリニックだと休むに休めず、長期の休みなど取れていなのが現状です。
しかしこういうクリニックに勤務している看護師は院長の妻であったり、愛人であったり前職からスカウトしてきたお気に入りであったり、何らかの深い関係がある場合が多く上手くいっている時がはいいのですが、関係がこじれたりクリニックの経営がうまくいかなかったりすると途端に崩壊し始める危険性を孕んでいます。
現在は美容クリニック乱立状態ですから経営に難渋するクリニックも多く危険を察知したら院長と心中する覚悟のない看護師はすぐ辞めてしまいます。
しかしそういった義理や深い関係がある場合退職が困難になることは容易に想像できます。

このようにクリニックの規模のよって業務形態や組織や院長との関係性などが大きく異なります。
だた共通して言えるのは美容系クリニックは一般の臨床系病院やクリニックよりも高収入であることかなり看護師の業務が国が定めている範囲を逸脱していること、基本的には自由診療のため売上が全てであるといったことが挙げられます。

美容系看護師の辞めたくなる理由

医療行為をさせられる
前述のとおり美容系看護師はレーザー照射、手術の第一助手、手術後の傷の消毒・抜糸、場合によっては術後の経過観察、手術適応のカウンセリングなど医師が行わなければならない業務までさせられています。
このように実際医師の管理下の元という建前はありますが、本来は医師が行わなければならない患者さんに侵襲を加える処置を行わせているクリニックも数多く存在しています。
そういった行為は保険診療を経験してきた看護師ならば自責の念に苛まれることでしょう。
違法行為に加担していたとなれば、これが公になるとタダではすまされません。
実際最近ではHAIF(ハイフ)というリフトアップ効果のある高周波医療機器があるのですが、これをエステにて行い看護師どころか何のライセンスもないエステティシャンに施術させ熱傷(やけど)を負わせてしまい逮捕された事件がありました。それを受け厚生労働省はHAIFは医療機関で医師のみが行うことという通達を各都道府県を通じて通達しました。
これはなにもHAIFだけに限らず脱毛やシミ取りのレーザーで患者さんへ侵襲を加える機器であることに変わりはなく出力を間違えば火傷のリスクは十分にあります。
そういった事を理解している臨床経験のある看護師は自分が傷害罪に問われることはないと分かっていてもやはり違法行為に加担しているという後ろめたさは拭えないようです。そういう気持ちで働き続けることが耐えられない真面目な方は退職したくなるのは自然なことではないでしょうか

全ては売上重視の世界
美容業界は基本的に売上重視です。クリニックによっては厳しいノルマが課され看護師でもカウンセリングさせられ契約の件数、指名の数、アップセル(本来の施術にオプションをつけ代金を吊り上げること)にて評価されるところがかなり多いようです。
事前に患者の住所を検索し高級タワマンなどに住んでいるとかなりのアップセルが見込めそうだというようなことも平気で行なわれています。
すると患者さんがお金に見えてきて金払いのよい客には非常に丁寧に対応し、そうでない客には雑に扱うということが日常茶飯事に起きています。
また売上を伸ばすためにかなり安い金額で広告をうち、色々と理由をつけて(麻酔代、高級な糸を使うなど)金額を上乗せし、同じ手術を行うということも良くあります。
こういった全ては売上を伸ばすための行為に辟易とし退職したくなる方も多いようです。

行っている施術がずさん

これは手術室等の手術室看護師経験者が一番感じる事だと思いますが、医療の現場特に手術室では感染を防止するため清潔・不潔の管理が厳重に行われます。
病院の手術室では空気中の粉塵を除去するためのへパフィルターが備えてけられ、一般の区域とは区別され、簡単には出入りできない構造になっています。手洗いなども厳密に行われ、機材なども完全に滅菌して使用します。
ところが多くの美容外科では一般のオフィスビルを賃貸して営業をおこなっているためそういった清潔エリアでの手術室をそなえているクリニックはほぼありません。
つまり不潔環境下で手術を行っているのが現状です。機械洗浄滅菌処理なども看護師が片手間に行っているのでかなりずさんです。
病院手術室出身の看護師からみると、とんでもない環境で手術をおこなっているなと感じるようです。
更に手術手技自体も一般の臨床から比べると、かなりいい加減で患者さんの消毒などもかなり雑です。
確かに美容外科は一般の手術と違い臓器に触るレベルの手術は体表面の手術が多く感染のリスクは低いです。しかし、医療行為ですから不潔環境下で手術を行うことの危険性は当然ながらありますそういう環境に慣れていない看護師にはやはりキツイと思われます。

厳しい人間関係

売上重視のところでも説明しましたが、美容クリニックは厳しいノルマや売上に対するインセンティブ制となっているところも多くこれは水商売と一緒で個人個人の戦いを生みます。
つまり指名争いや売上競争になります。これでは協力関係を築くことは難しくむしろ同じ看護師同士が
ライバル関係になります。更にはカウンセラーもエステ商法のように契約を取ってくるのが仕事で、その取って患者さんの施術をするのが看護師ですが、ここで満足いく結果が出ないと契約を取ってきた看護師に矛先が行くことになります。場合によっては全額返金などという事態も少なくなく、こうなると
看護師VSカウンセラーという構図ができあがります。
当然陰口の応酬になりこういった環境になじめず辞めていく看護師も多くいます。

最後に

これ以外にも美容医療の業界は闇が深く一般の臨床では考えられないような常識があったりします。
現在は美容クリニック乱立状態でそれに伴い退職者も増えていきます。
医療退職代行パートーナーズでは美容系医療機関の退職代行も数多く取り扱っております。
お気軽にご相談ください。

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